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2003年10月/11月

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10月6日(月曜日)
石井、稽古に1週間遅れで参加。
今回は前半だけの台本を元に、エチュード(即興)や気持ち重視の本読みを役者のみで先行させた。
元々TVドラマの脚本家である僕は、役者の生理というものがよく分からず、最初から細かい台詞回しをつい指示してしまう。芝居の完成形を教えてるつもりなんだけど、役者からすると、始めからそんな仕上げ段階を言われても…ということらしい。他の演出家の方から見たら呆れられてしまうだろうが、とにかくいまだにこんな未熟な演出ぶり。で、今回は初の試みでこんな形にしてみたのです。


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10月7日(火曜日)
本読み。昨日休んだ古田圭子の芝居を初めて見る。ミノタケ初参加の彼女は舞台自体が初めて。のわりに、なかなか堂々と想定したキャラをきちんと分かって演じてくれている。ホッとした。
古田は小柄で華奢である。が実は、アストレスという女子プロレスラー軍団の1人。ワークショップで目の力強さがひときわ目立っていた。
「端から見ると、うっとおしい」キャラのリカという役を今回演じてもらうが、僕との連絡FAX文からすでにリカになりきっていて、楽しそう。よかった。やっぱり役者さんはその役を楽しまないとね。


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10月9日(木曜日)
津川祝子が稽古休む。ビデオ映画の声の仕事。
祝子は見た目は派手で奔放な印象だが、実際は生真面目で小心、可愛らしい女優さんだ。前回のミノタケにも出てくれたのだが、もっと無礼なズべ公芝居を望むほど、何をやってもキュート。
前回稽古中、携帯をカメラ付きに代えて、さっそく自慢の巨乳の谷間を自ら撮ったそうだが、見せてくれなかった。見た女優たちによると、それは思わず息を飲むほどセクシーだったらしい。今回の出演に際して、谷間をメールすることを条件にしたが、駄目だった。条件不履行のまま出演。


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10月10日(金曜日)
矢内芳樹、珍しく稽古に遅刻。
矢内さんは旗揚げ公演を見て「とにかくミノタケに出たいんですが」と、プロフィールを送ってきたベテラン役者。正月に新宿でお会いして「自分は、監督・演出家に自ら売り込みますが、特定の人だけです。過去には周防正行監督、北野たけし監督などです」と言う。つまり周防、北野、石井が同列。で、第2回公演の中心人物に決定!後に本人から「僕の芝居を見たこともないくせに、石井さんは無謀ですよ」と言われる。でもうまいし、少し間抜けだし、今回も出演願うことにしました。


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10月12日(日曜日)
日曜日は午後から夜までの全日稽古。疲れます。
昨日までは座って台本を読み合わせるだけだったが、今日からは、本は持ちつつも立って動作や小道具も加えて、だいたいの動きを全員で確認・修正する「荒立ち」へ。
僕の頭に当初あったセットや人物の動きが、役者たちのアイデアでみるみる変わっていく。でもそれでいいのだ。ほとんどの役者は舞台経験が僕よりあるので、本当にうなずける提案ばかり。全部いただき。
僕はこの時期、皆の台本の綴じ方くらいしかダメ出ししてません。あ、あと、誤字の訂正。

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10月13日(月曜日)
早めに集合し、岸建太朗が作っている自主映画の撮影に全員で協力。僕まで鼻血を出した男役で出演させられる。
岸は旗揚げ公演に出たので、その怪優ぶりは分かっていたが、今回も稽古場で思う存分ハジけている。最終週で削ればいいので、今はやりたいようにやってもらう。突然の大声とか、意図が全然分からんけど、岸だと許せるし面白い。
普通「役者バカ」は褒め言葉で「バカ役者」はケナしているのだろうが、岸の場合は「バカ役者」が褒め言葉になる稀有な俳優。チャーミングだから皆も進んで映画に協力するんだな。


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10月14日(火曜日)
今日も荒立ち。
祝子とちーちゃん(中田千登勢)の役の入れ替えを試す。
ちーちゃんは前回公演からのお付き合いで、稽古場での居方に感心しまくり。私生活もソツなくこなしていそう。もちろん芝居もキャリアに裏打ちされて安心して任せられる。かと言って、つまらない演技はせず、ちゃんと見る人の心に引っ掛かってくる。たぶん僕の演出ぶりには内心イライラしているだろうに、傷つけない言葉を選び、穏やかな笑顔で助言してくれる。酒は強いし明るいし洋裁も出来る。何か完璧。悔しいから絶対弱点を見つけようと思う。


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10月16日(木曜日)
荒立ちの続き。
休憩中、二階堂が「昨日、家の電気が止められて困りました」。原因は電気料金の未払い。彼はわりとこういうポカをやらかす。
僕とたむらと共にミノタケの主宰者である二階堂。芝居に関する姿勢とセンス、力量、哲学は素晴らしい。制作のフットワークもいい。ただ、芝居以外のことはまるでバカ。今日だって台本の「ドライバー」をずっと運転と勘違いしていたことが判明。誰が読んでもネジ回しと分かるのに、ずっと運転の手振りをしてた。あれ?これって芝居そのものに関してじゃん。やっぱり全部バカ?


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10月17日(金曜日)
荒立ち、ラストまで終了。
別の撮影で稽古を休んでいた段野陽介が後半駆けつけ、久しぶりに役者が全員揃う。
段野はこの道まだ2年の役者だが、前回公演から出てもらっている。技術的には未熟だが、妙な魅力のある男。わりと仕事も来ていて、有名企業のポスター広告に段野がアップでカッコよく写っていたときは、ふだんの彼を知っている我々、揃って騒然。だって前回の芝居をSFだと思っていたボケキャラですから。そんな突っ込まれタイプなのに、本人は突っ込み型と勘違い。だからそれがすでにボケてるっつーの。


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10月19日(日曜日)
稽古中、舞台監督・山田剛史氏通称パパと打合せ。彼とは旗揚げからのお付き合いで、毎回、舞監の他に音響も兼ねてもらっている。しかもミノタケの台所事情を知って、いつも格安。さらに今回はチョイ役出演までお願いしてしまった。元々自分たちの劇団を持つ役者さんなので「ウヒョヒョヒョ」と笑って出演を快諾。一人三役だ。ちなみにパパは、この稽古中に本当のパパになる予定。
舞監打合せ後、衣裳合わせ。DM封入作業を全員で。その後、石井は本直しで喫茶店にこもり、その訂正台本で一度本読み。疲れました。


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10月20日(月曜日)
本読みの後、立ち固めを開始。始めから一つ一つ動きを固めていく。
休憩中、主宰の1人・たむらと役作りについて話す。
たむらは器用で、自分の味を持った女優だ。今までの2本の芝居で僕はあえてその味を消すようなキャラをお願いして苦労させてしまった。今回のキャラも難しいが、どうなるか?
さらに彼女は制作としても有能。人脈も多彩で、ミノタケの中心は、どう見てもたむらだろう。時間の使い方や仕事の進め方には、年上の僕も学ぶべきところが多い。帳簿の計算に強く、酒といい男に弱い。そこがまた素敵。


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10月21日(火曜日)
立ち固めの続き。
稽古終了後、筏津龍人から、頼んでいた資料の現状報告。
筏津は旗揚げの稽古中、たむらが飲み屋で知り合った元・吉本芸人だ。芝居に来てくれて、バラシも手伝い、打上げの最後までいて、しかもあまり喋らなかった。「ただ死んでないだけ」の毎日を変えたい、とミノタケに参加。最初は制作助手だけのつもりが、他の役者のNGにより、前回今回と役者としても出演と相なったラッキーな奴。でも下手だね、つーか下手にもなれてない。雑用を気持ちよく引き受けてくれるのは感謝してます。だから頑張れ。


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10月22日(水曜日)
稽古オフ。台詞修正に悩む。
稽古中「いいのいいの」という台詞を、二階堂(37)が「いいのいいの飯野陽子にしませんか」
飯野は知り合いの名だ。誰も知らないだろ。却下。
と、矢内(39)「では、いいのいいのイーノー忠敬は?」減点20。
石井(44)「よし、いいのいいの飯野三郎だ」「誰それ」「いや架空の人」
見学の役者・江道信(41)「無理に変えない方が良いのでは」
でも江道はさっき「飯野三郎が一番だと思い直しました」との電話。いい年こいてみんな何やってるんだ!
あ!いいのいいの飯野おさみがいいかな?


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10月23日(木曜日)
本番前2週間を切る。焦らず引き続き立ち固め。
主宰3人は早めに来て、当日パンフの原稿を確認。
そのデザイン担当は、旗揚げからのチラシを作ってくれている西山昭彦氏。お客様から好評のミノタケマークやこのHPの基本デザインも全部、彼が手掛けた。チラシが完成すると、僕は毎回そのセンスに大いに刺激されて台本を書きます。でも本人は意外と関西系脱力キャラ。「どうでもいいですやん、そんなこと」という台詞がすごく似合う。そんな投げやりなこと、彼は言いませんよ。言わないけれど、絶対似合うそんな人。


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10月24日(金曜日)
稽古後半、濱ちゃんこと濱岡清吾氏登場。
彼は第1回から素敵なテーマ音楽をPCで作ってくれているミュージシャン。旗揚げ芝居からオリジナル曲があるなんて、贅沢なことです。
けど台本の音楽指定は、毎回最初と最後だけ。劇中にも曲を入れたい濱ちゃんは物足らないみたい。まあ、とにかくラストシーンを役者が本読みし、その場の雰囲気を掴んでもらう。彼は職人のように頷いて見ている。仕上がる音楽は今度も素晴らしいことだろう。でも濱ちゃん、早めに作ろうね。前回みたく小屋入り前日に完成とかはナシです。


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10月25日(土曜日)

稽古オフ。
僕の拙い演出を、役者たちは「石井さんはお客の目で見ているから」と慰めてくれる。確かに僕は、時間を割いて来てくださるお客様の目になって見るけど、それ以外の視点がないとも言えるよね。
旗揚げの稽古中、自信のなさから役者の提案を全部受け入れ「進まないから役者の言うことを聞かない方がいいですよ」と江道に言われ、その提案をまた受け入れた僕。指示は不的確で、例え話は分かりにくい。でも3回目となるとさすがに違うね。役者が、頼れるのは自分だけと自覚している。あれ?それでいいのかな?


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10月26日(日曜日)
ようやく立ち固めを最後まで終了。オフ日を考えると、小屋入りまで正味あと7日。
帰り道、前回も出演した矢内さんに「今回は稽古の進みが遅い気がしませんか」と聞く。「そうですね。僕も今回はまだ台詞が入らない」と矢内さん。石井「何でかな」矢内「何ででしょう」石井「何が悪いのかなあ、丁寧にやりすぎなんですかね?理由が分からない」矢内「あ。僕、稽古帰りにジムに行き始めて結構忙しいんですよ。それで台詞がまだ入らないのかも」
そんなこと、聞いてねーよ。てか、それならジムに行くなよ矢内。減点20。


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10月27日(月曜日)
今日から1日8時間の集中稽古。
舞台実寸の取れる稽古場に移動し、パパに大道具も運び入れてもらう。芝居経験の多い役者たちが案を出し合い、セットを変更。結果、随分と動きやすいシンプル&リアルなセットになる。
何故これを最初に思いつけないのかと、僕は落ち込む。「面白くなればいいんですから」と祝子が慰めてくれる。やさしいね、巨乳の写真はまだくれないけど。
その後、最初から最後まで初めて立って通してみる。粗削りもいいとこだが、皆、これで少しホッとしたんじゃないかな。もちろん、僕が一番ね。


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10月28日(火曜日)
問題点解決のため、部分シーンを抜いてやる、抜き稽古。
初日を来週に控え、制作面も含めて焦るミノタケ3人。でも稽古帰りは今夜も率先して居酒屋に。
寝不足の僕は、途中で失礼するが、たむら二階堂他、一部の役者は飲む飲む。
夜、たむらから電話。どうやら店のビンゴタイムで焼酎を3本ゲットしたらしい。「石井のメモ帳のネタになるかなって」ありがとう。なりません。てか、まだ店にいるのかよ!
さらに夜中、二階堂からメール。「しゃたょいごちそ勇まあ明日!」意味不明。いやがらせか?どいつもこいつも。


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10月29日(水曜日)
抜き稽古の後、通し。今日は本番に向けて、忘れた台詞を補うプロンプはせず、舞台上の役者たちだけで抜け台詞を互いにフォローしてもらう。その後ダメ出し。
ミノタケのダメ出しは民主的。てか指導者不在。何しろ演出の僕が役者に助言出来ない。だから芝居が終わるとまず始まるのは役者間での自主的な確認や打ち合わせ。その様子を窺って僕がおずおずと感想や疑問を話す。と、彼らは立ち位置や言い方を変更し、これまた自主的に解決していく…これが流れです。僕は「作演出」ではなく「作感想」だと、今気づきました。


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10月30日(木曜日)
抜き稽古の後、通し。動きに約束が数多くあり、役者たち混乱。
その後、皆の衣裳のバランスを専門の方に見てもらう。
古田(21)のセーターの色は白がいいとのアドバイスに、ちーちゃん(34)が一時自分の衣裳にしていたボア付セーターを貸してくれる。それを着けた古田、可憐になる。「ちーちゃんが着てた同じものとは、とても思えないよね」と矢内さん。ちーちゃん「…それ、もう古田にあげる」
矢内さん。矢内さんの発言は確かに間違ってません。でも世の中には言っていいこととそうでないことがあるんです。減点30。


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10月31日(金曜日)
本番前、最後のオフ。小道具の買出し、受付回りの不足品チェック、台詞直しと休む暇なし。でも床屋には行きました。役者たちも衣裳の買物や小道具揃え、もちろん台詞の確認などでさぞ忙しいことだろう。昨日の通しは台詞が飛びすぎでひどかったもんね。反省していることでしょう。
段野、筏津は、岸とともに自主稽古をしているのかも。あいつら、稽古前や後に駅のホームで本読みや立ち稽古しているらしいから。見上げた根性です。見上げた根性だけど、ホームにいる人たちにとってはえらい迷惑な話だね。ごめんなさい。


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11月1日(土曜日)
小屋入りまで、後3日。二階堂やちーちゃんを中心に、役者たちが自主的に位置や動線を修正していく。
同じ部屋で台本の小直しを終えた僕は、彼らの話し合いに途中からは入れず、と言うか訳が分からず、仕方ないので小道具の箱を作り始める。皆が芝居プランを練っているときに1人、紙の箱を補強している「作演出」の僕の立場は既に「作感想」ですらなく「作箱組立て」に後退だ。しかもやっと出来た箱は、二階堂の「それ、でかいですよ」の一言であえなく却下、後で見たら、岸がゴミ箱にして使っていた。何て悲しい秋。
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11月2日(日曜日)
抜き稽古の後、通し。ダメ出し後、再び通す。
本番では1日2回公演が3日、初日の舞台前の通しを含めると4日もある。そのため2回通しを役者に体感してもらったのだ。
さすがに疲れてソファで休憩するたむら、ちーちゃん、祝子。この3人が揃うと、男優は怖くてソファに近づけない。唯一、芝居以外バカの二階堂だけが一緒に座って笑っている。まるで、大きく開けたカバの口の中でのんびり歯間をついばむ小鳥。本当は危険なのに、それに気づかない。彼女たちの逆鱗に触れてカバの口が急に閉まらないことを祈ります。


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11月3日(月曜日)
稽古最終日。昨日出た問題点を抜き稽古で解決。さらにテンポアップのため、台本を修正。台本を早読みしてから通し。段野がグッと面白くなった。
荷物の撤収時、古田が、衣裳で使うブーツの匂いのことで段野とモメている。古田「十円玉入れてるから臭くないです。嗅いでみてください」段野「いやや、絶対臭いから」
古田は僕と矢内さんにもブーツを差し出す。つい嗅いでしまう中年2人組。うん、確かに無臭だ。「ね」古田は得意気に段野を見る。矢内さんは、古田のブーツに何の匂いもないことが少し残念そう。減点40。


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11月4日(火曜日)
いよいよ劇場入り!パパの指揮の下、手分けして舞台作りと受付準備、場当たり、通し、ダメ出しと慌ただしく過ごす。
この日の夕飯タイムは、通し稽古前のわずか20分。一同必死で弁当をかきこむ。
その食事中、僕が楽屋を通るたび、ちーちゃんがたむらに「このシャケ弁当おいしいよ」と言い、たむらが「そうなんだ」と答えている。少なくとも、2回は同じやりとりを聞いた。疲労のたまった女優2人のうわごとか?それとも、寝不足の僕の空耳か?
間違いないのは、ちーちゃんはシャケ弁が好きだということ。


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11月5日(水曜日)
ゲネプロ(本番同様のリハーサル)後、いよいよ初日を迎える。
いい緊張感の中、役者一同トチリもほとんどなく、お客さんに喜んでいただけました。
たくさんの笑いを入れたつもりの今回の芝居、いざ本番となると、笑ってくれる箇所が想定外。受けると思ったところは静かで、意外な台詞で笑いが起こる。
そう言えば、そもそもコレやアレがおかしかったんだよなあと、お客さんから改めて教わった感じ。何回も何回も台本を読むうち、僕や役者たちは話を新鮮に受け取る気持ちを忘れていたのかもしれない…反省と感謝です。


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11月6日(木曜日)
本番2日目。今日は昼夜の2回公演。
平日の昼公演は通常あまりお客さんが入らない。ところがミノタケは、たくさんのお客さんがお見えになってくれるので、隣の劇場を使っている劇団が不思議そうに入れ替わり立ち替わり様子を見に来る。少し誇らしい気分。
お陰様で芝居の中身も評判がよく「時間を忘れて楽しみました」と言ってくださる方が多い。後はテンポの維持だけ。いわば1時間40分の9人漫才のようなつもりで書いたので、リズムが崩れると寒いだけになっちゃう。本番前に、皆で台本の早読みは必須。頑張ろう。

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11月7日(金曜日)
3日目。朝方、舞監・パパの奥さん、無事男児出産。我々の舞台中の誕生なので命名候補として「ミノすけ」もしくは「汁男」が有力。いや、あくまで我々の中で。一応、山田汁男が優勢です。
午後、舞台写真を撮り、夜の公演へ。今日はとうとう100人の大台を突破。ありがとうございます。
ただ僕は睡眠不足と風邪のため絶不調。たむら、ちーちゃん、祝子を中心とした毎晩の酒盛りにも参加せず直帰。
帰ると1通の請求書が届いていた。項目欄には「何か変な汁が出てきた稽古場」の使用料とある。どんな稽古場だよ。

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11月8日(土曜日)
  夜公演は何と120人以上のお客さん。窮屈ですいませんでした。

役者たちの本番前の風景を撮ってみた。こうして、輪になり目を閉じ手をつなぎ、集中してゆくのです。僕が近寄れない神聖な時間です。

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11月9日(日曜日)
今日も昼夜公演。一同にかなりの疲労が…。
夜公演の前、役者たち、自分を鼓舞せんといきなり舞台で歌い始める。
「あの素晴らしい愛をもう一度」「翼をください」。段野や古田は曲の古さについていけない。が、たむら、二階堂、ちーちゃん、矢内さんは、即興のくせに見事にハモっている。年がバレるね。でも、うまい。しかも、しまいには踊り出している。ミュージカルかよ。
しかし実は僕、ミュージカルが密かに好きです。だから見ていて、すごく楽しかった。こんなに歌がうまいなら、次回公演はミュージカルか?


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11月10日(月曜日)
千秋楽。
この最後の舞台だけ、僕は純粋にお客さんになれます。初めてダメ出しノートを持たずに、手ぶらで席につき、役者たちの演技を楽しみました。
体調を崩しつつも頑張ったたむら、矢内さん、岸。いつも稽古全体に目配りしてくれた二階堂やちーちゃん。祝子の笑い声は現場を明るくしてくれたね。少しは役者の顔になってきた段野、筏津。そして古田は堂々の初舞台。
感慨深く見守って、とうとう終幕、暗転、拍手。
あ!カーテンコールで千秋楽恒例の「役者紹介」を忘れてハケて行く役者たち…もう最後までバカ。


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11月11日(火曜日)
昨夜は中野で打ち上げ。深夜1時半、風邪の治らぬ僕は一次会で帰るが、役者たちはカラオケに向かった模様。
帰宅後、泥のように眠り、頭の中に芝居のオープニングテーマが鳴り響いて目を覚ます。時刻は昼の2時5分。ちょうどマチネ(昼公演)が5分押しで始まった時間。
でも今日からはもう、劇場に行かない。いつも一緒だった役者やスタッフたちとも会えない。もちろんこれからも一緒に仕事はするだろうけど、同じメンバーで再び同じ舞台を作ることはまず出来ないだろうと思うと、切なくなる。今日は一番寂しい日。


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11月12日(水曜日)
ミノタケプラン第3回公演を見てくださったお客様、見たかったけど来られなかったお客様、本当にありがとうございました。お陰様で舞台は盛況裏に終了いたしました。次回は来年6月末ですが、ウカウカしているとすぐにやって参ります。どうぞ来年のカレンダーやダイアリーに、ミノタケの予定も書き込んでいただければ幸甚です!
この「石井のメモ帳」は今後も不定期ながら、わりと更新するつもりでいますので、たまに覗いていただけたらと思います。引き続きミノタケプラン及び当HPをよろしくお引き立てください!


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11月14日(金曜日)
放心状態からそろそろ脱皮。芝居の後処理、待ってもらっていた僅かな仕事、雑用が山積している。
気合いを入れ、まずはともかくゆっくりと風呂に入る。ここ1週間は夜遅く朝早かったので、こんなにのんびりと湯舟につかったことがなかった。で、僕は本番中、背中を洗っていなかったことを発見。いや、毎日風呂には入っていましたよ。入っていたけど、背中は洗ってなかった、たぶん。だってタオルで背中をこする感覚、久しぶりだもん。何分もかからないのに無意識に省略していたのですね。背中、今日から洗います。


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11月16日(日曜日)
ミノタケ旗揚げ公演に出た西嶋大明の舞台「ユダの食卓-密室バージョン-」(風琴工房/こまばアゴラ劇場にて17日まで)を見に行く。
母子相姦が軸の重い芝居で、ある意味無垢な中学生を西嶋が好演。
10年前に発表された舞台に手を加えた再演らしいが、初演を見て西嶋はこの世界に入ったとのこと。う〜ん。彼がそんな重厚路線だったとは知らず、ミノタケではおバカで軽い芝居をしてもらったんだけど、内心怒っていたりして。
客席で会ったたむらは風邪気味。ハスキー度が増し、アンニュイな顔で笑う様子が痛々しかった。


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11月20日(木曜日)
ちょうど1年前の今日。ミノタケプランは六本木アトリエフォンテーヌで旗揚げ公演の初日を迎えていました。
「中沢の沢は難しい方の澤」、急逝した社長の通夜会場で起こるノンストップの一幕物。
思えばこの1本目で「ダメな人たちが右往左往のリアルタイムストーリー当然途中暗転やセット替えなし役者全員出づっぱり!」といった3作共通のスタイルが偶然に生まれた気がする。って、そんな大層な話じゃないんだけど。でも感慨深い。今日はいわばミノタケの誕生日なんだ。って、そんな大層な話じゃないんだけどね。

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11月21日(金曜日)
ミノタケプランはたむらと二階堂と僕の3人が共同主宰している。で、この3人は元々、脚本家・倉本聰さんの私塾「富良野塾」出身。たむらが5期、二階堂が6期で共に役者コース、石井が1期で脚本家コースでした。たむら&二階堂と僕には直接の接点はないのだけど、先輩後輩の縁で芝居を見に行ったり飲んだり、たむらに関して言えば、95年に彼女が当時作っていたユニットに芝居を書いたこともあったのです。
そんな縁が細々と続いて去年。飲み屋で「芝居をやろう!」と盛り上がった2人が僕にも声をかけてくれたわけ。


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11月22日(土曜日)
僕は元来不精者で、芝居を自ら主宰するなんて絶対嫌でした。大変だから。でも、たむらと二階堂は制作の経験者だったし、こっちもTVの仕事が減っていて自分から何かやらないとなんて、たまたま思っていた時期だったので、腹を決めて2人の誘いに乗った次第。
何より彼らが、僕を選んでくれたのがうれしかった。特に二階堂にはそれまで嫌われていると思っていたから。いや、今も好かれているかは不明なんだけど。「石井さんが好き」と二階堂から言われたことないし、言われたいわけじゃないし、言われても困るけどね。


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11月23日(日曜日)
3人で芝居をやるなら1回だけじゃなくて続けたい。それが僕の出した条件。2人も了承。で、ユニット名が必要になりました。
打合せ場所へ向かい渡っていた新宿伊勢丹前の交差点。たむら「名前、何か考えました?」石井「自分の身の丈でやりたいから、ミノタケプランってどう?」たむら「あ、可愛い」石井「二階堂は?」二階堂「何でもいいっす」。即決。
ネーミングというのは、練れば練るほど駄目になるもの。だから今考えると、この安易で重みのない命名も、結果よかったのではと、自己満足しているわけです。


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11月24日(月曜日)
旗揚げ公演のキャスティングが始まったのは昨夏。富良野塾5期の江道信、7期の西谷内良が早々に決定、たむらがバカ役者の岸と、現役モデルで美形の秋吉香弦ちゃんを、二階堂が東京オレンジ出身の福島恵ちゃんとジャニーズ顔の西嶋をそれぞれ連れて来ました。
舞監パパと照明の加藤俊彦さん、音楽の濱ちゃんは二階堂のコネ。たむらが宣伝デザインを西山さんに頼み、以降先日終わった第3回公演までずっとお世話になるスタッフ陣もこの時点で勢揃いしたわけ。
にしても、石井人脈が皆無だね。改めて分かる人望のなさ。


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11月25日(火曜日)
3人の役割は、たむらが総務と経理、二階堂がスタッフ劇場稽古場の渉外、石井は印刷物や資料の作成。それぞれ「出来ることを自発的に」が暗黙のルールとなる。3人が同等の義務と権利。
名刺も作ることになり、肩書はたむらが「代表」、二階堂は大衆芝居みたいだけど「座長」、石井が「作演出」。これだとおのおのが一番偉く見えるでしょ?実態に合うし3人同時に出しても変じゃないし。結構苦労したんだけど、この名刺、今現在の使用枚数はたむら4枚、石井3枚。二階堂は裏をメモに使って1枚。企画倒れでしたね。


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11月26日(水曜日)
今日は第2回公演に出た(萩原)利映ちゃんが所属するグリングの舞台「jam」(下北沢ザ・スズナリにて30日まで)を見に行く。
舞台を作る人たちが夢描き、でも最後まで到達出来ない理想のレベルに、今回のグリングは位置していました。緻密リアル日常のうねり…本も演技も演出も音響も照明も美術も完璧。
いい芝居を見ると普通は触発されてやる気が湧くんだけど、ここまでやられると打ちのめされるだけ。同業者殺し。恐るべしグリング。
初主役の利映ちゃんも良かった。ミノタケに出てもらったことを誇りに思いました。


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11月27日(木曜日)
昨夜見に行った芝居に出演の利映ちゃんは、同じグリングの前々回の舞台を見て、出演交渉した女優さんです。ちーちゃんも祝子も、それぞれの舞台を見てキャスティング。いい役者さんを見つけて口説いて出演の承諾を貰う…制作冥利に尽きる瞬間です。
諸事情でなかなかOKが出なかった利映ちゃん、四の五の言わず即決のちーちゃん、「過去の公演ビデオを見せてください」と冷静な祝子。三人三様の対応だったけど、結果この3人とたむらが盤石の結束を誇るアマゾネス軍団になるとは、そのとき想像だにしませんでした。


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11月28日(金曜日)
そう。第2回公演に出演のたむら、ちーちゃん、利映ちゃん、祝子は今でも仲がいい。
女同士の関係は会社でもどこでも難しく、女優同士となれば余計大変。でもこの4人、最初から不思議とウマが合ってた。あいつら女じゃないのかも。男より男らしいし。
たむらのリードに、ちーちゃんのフォロー、祝子は3人を尊敬してるし、最後は利映ちゃんがガハハと笑ってまとめてしまう。血液型が全員違うというバランス、浴びるほど酒が好きという共通点。で、他の男優を叩き蹴散らし震え上がらせ、誰が呼んだか、恐怖の四天王。


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11月29日(土曜日)
つまり、ミノタケ第2回公演で女性らしい女優は、阿久津克子さんお一人ということです(笑)。
阿久津さんは、病気降板した役者さんの代わりに急遽出演願った、何と元東映ニューフェイス。「べらんめい芸者」で美空ひばりさんと共演。「七色仮面」「ナショナルキッド」などに出演した後、しばらく休業されていました。復帰されてからはCMなどで上品な婦人を好演、財布を盗む老婆を演じてもらうのが気が引けるほど美しい方でした。稽古期間も少なく、大変ご迷惑をおかけしてしまい、今でも申し訳なく思っています。


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11月30日(日曜日)
稽古から本番まで2か月の長丁場だから、このようにアクシデントはつきものなのです。
さらに長丁場ゆえの役者の悩みは、バイトがあまり出来ずに収入が激減すること。小劇場ではほとんどギャラがなく、逆に持ち出し。たいていの役者は笑っちゃうほど貧乏。借金も珍しくない、つーか大半がしてる。社会的には人間失格。稽古後も、ソーセージ50円とかのツマミがある居酒屋で倹約して飲むのです。
なのに打ち上げで酔って、ギャラを落としてしまう役者もいて、神経疑うよ、岸!僅かだけど、せっかく捻出して配ったのに。